鋳造用地金の制作について

2016/09/01

「鋳造」とは溶かした金属を型に流し込むことで形を作る技術。

高火力でもって地金をどんどん溶かしていく様は、地味で地道な作業の多い彫金の中でも群を抜いて華やかな作業となります。

 

今回はその鋳造の際に用いる溶解用の地金「笹吹き」を作る過程を説明いたします。

まぁ簡単です。

溶かした地金を水に落とせばいいだけです

ただ落とせば上手くできるか、と言えばそうでもなく、案外にコツが必要になります。

そのコツとは水の温度であったり、水を入れた容器の大きさであったり、注ぎ込む溶けた地金の細さだったり。

綺麗な笹吹きを作るにはこの辺りをベストなセッティングにしなければなりません。

 

そこで当工房ではこういったモノを使って笹吹きを作っております↓

ハイこれ

自作の溶解炉ですね。

上の金網に囲まれた容器の中に電熱線と黒鉛坩堝が入っています。

坩堝の底には小さな穴が開いており、その穴を可動式の炭素棒で塞いであります。

地金が溶けたら炭素棒を引き抜き底の穴から溶けた地金を下に落とす構造になってます。

銀地金でMax800g位は一気に溶かすことができます。

 

上から見るとこんな感じ↓

 溶かしてる最中は密閉に近い状態+炭素棒から発生する二酸化炭素のおかげで地金が酸化しづらくなっています。

 

それでは実際に地金を下に落とす過程を動画で↓

落とし込んでいる最中は溶解炉を動かして地金が一か所に固まらないようにしてます。

こうしないと地金同士がくっついて大きな塊になりがちなんですよね。

こぼさないよう細心の注意を払って作業してます。

 

そしてできたのがコレ↓

 一般的に市販されてる笹吹きよりも形状は歪です。

この時は水の温度が低かったかな。

これはSV925地金ですが微妙に酸化して表面が飴色になってます。

この後酸洗いすれば綺麗な地肌が出ますが面倒なのでウチではこのまま使っています。

 

ちなみにウチでSV925地金を作る際は純銀を手に入れて自分で割金にしています。

(※SV925は銀92.5%に銅が7.5%の割合となります)

では純銀はどこで手に入れるか。

通常なら地金商から純銀の笹吹きやインゴットを入手するのが一般的でしょう。

ですが間に業者が入ると価格が上がってしまうのが世の常。

地金相場は毎日変わっていきますが、業者から購入すると1g当たり小売相場の5円~10円増しくらいで販売されております。

少量なら問題なくてもキロ単位となるとこの差は結構大きくなるわけですね。

 

ではもっと安く手に入れる方法はないのか?

実はあります

ヤフオクを上手く使うのです。

まずこちらをご覧ください↓

 はい、この銀器全部で1キロくらいあります。

ヤフオクの出品者から落札したものになります。

この時で1g当たり小売相場から8円ほど安く買えております。

つまり業者から買うより1g当たり15円ほど安く手に入ったということですね。

1キロなので15000円の節約です。

この差はデカい。圧倒的にデカい。

上手く落とせれば10円以上安く落とせるときもあるので大きな節約になります。

 

ただ一つ問題があるとすれば、「銀の品位」は保証できるのか、ということだと思います。

もちろん地金商が「純銀」と謳って販売している地金に比べれば純度は落ちるかもしれません。

(と言っても99.99%と99.98%とかの差ですが)

地金商から買った品位の保証されている地金しか使わない、という考え方もあるでしょう。

それはもちろん自ブランドのイメージのためには大事な部分の一つなのは間違いありません。

 

しかしこういう考え方もあると思います。

地金を溶かして流し込むときに酸化や酸化膜を除去した際の目減りで品位は必ず変わる。

もちろん0.01%とかの微々たる差になりますがそこは避けられない部分です。

まして地金商の違いで品位が違うなども当たり前の話です。

であれば、こと純銀に関して言えば、自分で割金を作る分には入手経路はどこでもいいんじゃないかというのが私の考えです。

 

ではヤフオクで手に入れる銀器の「純銀」は保証されるのか、という話になりますがこれは単純です。

「純銀」が保証されてる物しか落札しなければいいんです。

そこでもっとも狙い目の出品物が「銀杯」なわけです。

 

銀杯はバブル期くらいまで頻繁に製造され、各企業や自治体からの下賜品としてもの凄い量が出回っています。

私がヤフオクで狙うのは主にこの銀杯になります。

銀杯を狙うメリットとしては

○出回っている数が多いため必要な分量が確保しやすい

○薄い皿状なので溶かす際に切り分けやすい

○純銀の刻印の他、造幣局や地金商の刻印もあり品位が保証できる

○出品者は古物商が多く、潰して(溶かして)再利用する落札者がメインだということが分かっている

こんなとこでしょうか。

最後の「出品者に古物商が多い」「潰して再利用する落札者がメイン」という点ですが、これはヤフオクの出品ページから読み取れます。

例えば出品タイトルに銀杯の総重量を記載したり、出品写真で刻印部分をしっかり撮影していたりといった点ですね。

アンティークの銀杯としてではなく素材としての銀杯と考えて出品されています。

そのおかげで安全な出品物を判別しやすいわけです。

アンティークの銀杯は逆に出品価格が最初から高めに設定されているので候補外にできます。

 

 

最後に、この記事を読んでヤフオクで銀杯を狙ってみよう、という方にアドバイスです。

アドバイスというかヤフオクの鉄則ですね。

 

○入札前に出品者の評価を確認する(悪い評価が多い場合や新規出品者の場合は避ける)

○落札金額に消費税がかからない出品を選ぶ

○総重量表記や刻印の有無をしっかり確認する

○送料と落札金額を合算して相場より1g当たり5円ほど安い金額を予算に設定する

 

概ねこの辺りを押さえておけば問題は発生しづらいでしょう。

入札はあくまで自己責任ですが。

最後の「5円安い金額を予算に」というところは出品終了日の相場を適用してください。

なので必然的に入札は終了日になる感じです。

先述しましたが相場は毎日変わるので最終的な判断は当日しかできないわけです。

また「相場より5円安い」金額設定は経験上、競争相手(主に地金リサイクル業者)が手を引くボーダーラインだと思います。

こちらも設定した予算を超えた場合は潔く手を引く。

これが一番損をしないやり方だと思います。

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